Finale, Sibelius, Dorico等のMuseScore以外のソフトウェアで作成されたスコアをJapoScoreで扱う場合の注意事項をこのページに書きます。
背景:JapoScoreは、MusicXMLデータを読み込んで(インポート)して縦譜を作成します。
Finale, Sibelius, Dorico等の五線譜編集ソフトウェアを使って作成したスコアをMusicXMLファイルにエクスポートした場合、同じような五線譜でも、エクスポートされたMusicXMLデータが同じとは限りません。
JapoScoreは、MuseScoreがエクスポートするMusicXMLデータを扱えるように開発しました。他のソフトがエクスポートしたMusicXMLデータはうまく処理できない場合があります。
全般的注意事項:
1. MuseScore以外で作成されたMusicXMLデータは一旦、MuseScoreで読み込んでからMusicXML(非圧縮)ファイルにエクスポートしてからJapoScoreにインポートしてください。
If MusicXML file is prepared (exported) by software other than MuseScore, it should be opened by MuseScore and then exported to a (uncompressed) MusicXML file.
Finale, Sibelius, Doricoのエクスポートファイルについての注意事項は以下(Finale, Sibelius, Dorico)を参照してください。
現状ではFinaleがもっともJapoScoreと相性が良く、Sibeliusはかなりのスコア修正が必要になりそうです。DoricoはMusicXMLへのエクスポート機能が貧弱なので修正量が多くなります。
Finale is friendly with JapoScore. Sibelius is not so friendly. Dorico is poor in exporting MusicXML files.
Finale PrintMusic
(PrintMusic2014J Windows版)
試用版で用意されているのは上記のみでした。
簡単なテスト(Sibeliusでのテスト相当)では、大きな問題は出ませんでした。
1. Finaleの出力したMusicXMLデータはそのままJapoScoreにインポートできる可能性が高いです(JapoScore 3.0)。
作曲家の高橋久美子さんの越天楽(尺八、箏、三味線パートからなるスコア)が大きな問題なくインポートできました。
ですが、MuseScoreで一旦読み込んでから、エクスポートしてからJapoScoreでインポートすることをお勧めします。五線譜上での編集作業が必要になる場合はMuseScoreで行うのが便利です。
2. 休符の省略 (Sibeliusの項の6.を参照ください)
3. V, +の扱い(Sibeliusの項の8.を参照ください)
Sibelius
(Ultimate Version 2019.1 build 1145)
1. MuseScoreに一旦インポートしてください。
SibeliusでMusicXMLデータをエクスポートし、これをMuseScoreで開き、MusicXMLファイルをエクスポートし、JapoScoreにインポートしてください。直接インポートした場合は次の問題が発生する可能性があります。
・スラーが表示されない。
・ブレス位置(2参照)
・クレッシェンド、ディミヌエンド記号の問題(3参照)
・ポルタメント(5参照)
・省略休符(6参照)
2. ブレスの位置がずれます。
Sibeliusで入力したブレス(コンマ記号)は、MuseScoreでは一つ前のノートに付けられてしまします。正しい位置に表示させるためには、MuseScore上でブレスをずらしてください(あるいはブレスを入力するのはMuseScoreで行う)。
(左:Sibelius) (右:MuseScore)
(英語版Sibelius 7でエクスポートされたファイルの例ではブレスの位置のズレはありませんでした。)
3. クレッシェンド、ディミヌエンド記号の問題
小節の最後のノートにその小節の最後が終点のクレッシェンド、ディミヌエンド記号は、MuseScore上で小節の最後まで伸びません。
(Sibeliusの出すデータがおかしいようです。)
MuseScore上では短く表示されるだけですが、JapoScoreではクレッシェンド、ディミヌエンド記号の表示が大きく乱れます。
MuseScore上で、クレッシェンド、ディミヌエンド記号の終点をノートの後ろに伸ばす処理(終点を選択し、Shift + Right arrow)を行ってください。
(左:Sibelius) (右:MuseScore)
(左:MuseScorej上で右端点を移動)
4. トリル記号
トリル記号を装飾記号として入力すると、MuseScoreおよびJapoScoreで表示されません。
テクストとして入力してください。
5. グリッサンド、ポルタメント(スライド)
MuseScore, JapoScoreで表示されません。(グリッサンドが連続する場合は表示されることもあるようです。)
MuseScore上でグリッサンド(波線)を入力してください。グリッサンド(直線)を入力すればポルタメントになります。
(左:Sibelius) (右:JapoScore尺八譜)
6. 休符の省略
声部(ボイス)が複数ある場合、休符をある声部(通常1)だけとして、他の声部の休符を削除できます。
この場合、JapoScoreでは、休符が表示されません。
対策として、
(1)休符を省略しない。
(2)MuseScore上で一度コピー、ペーストすると(内部的に)休符のあるデータに変換されます。(例えば、該当する小節をコピー、クリア(DEL),同じ小節にペーストすると、(省略された休符は表示されませんが)、JapoScoreでは正しく表示されます。
(左:左の小節はSibeliusで休符を省略しMuseScoreで表示、右の小節はMuseScore上で左の小節を右の小節にコピー)
(右:JapoScore尺八譜 右の小節は正しく表示される)
7. 休符へのスラー
表示されません。
(MuseScoreにインポートはできますが、MuseScoreからはエクスポートされません。)
8. +, V記号
+(プラス/クローズ)
V(上げ弓)
は箏ではピチカート、スクイ、三絃生田ではハジキ、スクイにJapoScoreで変換します。
三絃生田の場合、ハジキとスクイは同音間でなければ音名付きで表示します。
(左:Sibelius) (右:JapoScore 箏生田譜)
(左:Sibelius) (右:JapoScore 三絃生田譜)
9. 長休符
Sibeliusから長休符の情報が適切にエクスポートされない(英語版Sibelius 7)ようです。
そのままJapoScoreにインポートすると単一の空白小節になってしまいます。
MuseScoreに一旦インポートしてからエクスポートすると長休符が正しく表示できます。
10. 長休符の先頭小節のリハーサル番号
MuseScoreでエクスポートした場合、長休符の先頭小節のリハーサル番号は出力されず(MuseScoreのバグのようです)、JapoScoreで表示されません。
MuseScore上で”m”キーを(一度でも)押す(長休符表示のオンオフ)とリハーサル番号がエクスポートされるようになります。
Dorico
Dorico Pro2 Version 2.2.10.1256(Jan 31 2019)
エクスポートMusicXMLで出力されるのはノートのみで、ノーテーションその他の記号が一切出力されません。
使い方の問題でしょうか?