(2023年11月29日最終更新) 
本ハンドブックはJapoScore 4.6.8版に対応しています。

目次


はじめに

JapoScoreのインストール方法と邦楽スコアの作り方の基本的手順について説明します。

基本

基本的で共通的な操作について説明します。

ファイル操作

ファイル操作関係のコマンドについて説明します。

五線譜の作成

MuseScoreによる五線譜データ(MusicXML)の作成方法について説明します。

パート設定

スコアのパート毎に設定する項目について説明します。

小節設定

横書き/縦書きの設定、小節のスタイル、ステージ当たりの小節数など、小節のレイアウト設定について説明します。

  • 小節の方向(横書き/縦書き)
  • 小節のスタイルと幅
  • ステージの小節数
  • パート名
  • 小節番号
  • ページ設定

    用紙とページの設定、小節やパートのレイアウト設定について説明します。

    レイアウト編集

    レイアウト編集関係のコマンドについて説明します。

    ノート・ディレクティブ

    ノートを対象に行う様々な指示(ノート・ディレクティブと言う)について説明します。

    スタイル

    各種表示要素のサイズや位置や表示方法の設定について説明します。

    小節のスタイル

    ノートのスタイル

    テンプレート

    五線譜

    ツール

    参照資料

    ノートテーブル一覧表
    ノート・ディレクティブ一覧表

    ヒント集

    本章では、スコア作りに役立つヒントについて説明します。

    問題の解決

    謝辞


    ↑目次 | はじめに ›


    はじめに

    ここではJapoScoreのインストール方法について説明します。また、JapoScoreと合わせて使う五線譜のスコア編集ソフトMuseScoreのインストールとMuseScoreに設定するプラグインのインストールについても説明します。

    インストール方法

    ダウンロードページよりJapoScoreソフトウェアをダウンロードしてください。

    ダウンロードしたフォルダを解凍して、
    Windowsでは、解凍したフォルダを適当なフォルダに移してください。(レジストリは使っていません。削除はフォルダごと消すだけでOKです。)
    Macでは、JapoScore.dmgファイルを開き、JapoScore.appを適当なフォルダーに移動して下さい。

    MuseScoreのプラグインの設定方法:
    1.MuseScoreを予めインストールしておいてください。
    2.JapoScoreを初めて起動した(または新しい版のJapoScore起動した)時に次のダイアログが表示されます。


    このダイアログは、ツールメニュよりMuseScore用プラグインを設定するからも表示、実行できます。起動時にプラグインの設定をスキップした場合には、ここから実行してください。

    MuseScore2かMuseScore3のどちらかを選択してください。

    MuseScoreのプラグインフォルダを指定してOKを押します。
    MuseScoreプラグインフォルダは既定では”~/Documents/MuseScore2/プラグイン”または”~/Documents/MuseScore3/プラグイン”ですが、念のためMuseScoreの環境設定からタブ[一般]で選択されているプラグインフォルダを確認し、既定と異なる場合は、そのフォルダを指定してください。

    (MuseScoreをインストールせずにJapoScoreを使うこともできます。その場合は、キャンセルをクリックしてください。)

    次にMuseScoreを起動して、プラグインを有効化を行って下さい。

    プラグインの有効化

    MuseScoreを起動し(起動中の場合は再起動が必要です)、プラグイン|プラグインマネジャーによりプラグインの有効化を行ってください。プラグインマネジャーを起動して、ExportMusicXMLtoJapoScoreプラグインとImportMusicXMLfromJapoScoreプラグインをチェックしてOKをクリックするとプラグインが有効化され使用可能になります。

    プラグインマネジャー


    プラグインが有効化されると、プラグインメニューにプラグイン名が表示され、これをクリックするとプラグインを実行することができます。

    MuseScoreのプラグインメニュー

    プラグインファイルの管理
    Version 2.5.0以降の版数のJapoScoreでは、プラグインファイルImportMusicXMLfromJapoScore.qml
    ExportMusicXMLtoJapoScore.qml
    が”~/Documents/MuseScore2/プラグイン/JapoScore/”または~/Documents/MuseScore3/プラグイン/JapoScore/”に
    が配置されます。
    以前の版の古いプラグインが残っている場合には削除してください。


    五線譜用フォントファイルのインストール
    五線譜のノートの歌詞部に邦楽ノート名を付けてMusicXMLファイルにエクスポートできます。MuseScore上でこのフォントを表示するにはインストールフォルダ中の次のttfフォントをインストールしてください。
    JapoScoreStaffnn.ttf
    Macではダブルクリックすることでインストールできるはずですが、Windows10では以下の注意が必要です。
    (注意:Windows10では全てのユーザに対してインストールしてください。フォントファイルを右クリックするとメニューが出ます。ダブルクリックしてインストールするとMuseScoreよりフォントを使用できません。)
    フォントファイルJapoScoreStaffnn.ttfのnnの数字がフォントファイルの版数を表し、改版時に数字が増えます。改版があったかどうかリリースノートで確認いただき、改版があれば再インストールしてください。
    インストールフォントは”JapoScoreStaff”です。再インストール時には、古いフォントを削除する必要があるかもしれません。
    五線譜ノート出力機能を使わない場合は、フォントのインストールは必要ありません。


    音階(スケール)のサンプルファイル
    箏・三絃(三味線)では音階(スケール)をノートに割り付ける必要があります。ファイルから割り当てる場合のサンプルファイル(“ScaleTemplates.musicxml”)をインストールファイルに含めましたのでご利用ください。

    スコア作成の基本手順(MuseScoreを利用する場合)

    スコアの作成の基本的な流れを説明します。
    五線譜作成編集にMuseScoreを使い、作成したスコアのデータをJapoScoreで邦楽譜に変換し編集します。




    スコア作成基本手順:

    1. MuseScore上で五線譜のスコアを作成します。
    2. 作成したスコアをMusicXMLファイルにエクポートします。
    3. エクポートしたMusicXMLファイルをJapoScoreでインポートします。
    4. JapoScoreでパート設定小節設定ページ設定レイアウト編集等を行い邦楽スコアを完成させます。
    5. 完成したスコアをPDF形式で出力します。
    6. 完成したスコアをJapoScore形式のファイル(.sscx)に保存します。

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    基本

    ショートカットキー

    WindowsとMACでは、同じコマンドに対するショートカットキーが一部異なります。WindowsでのCtrlキーはMACではとなります。例えば、操作の取り消しコマンドは、
    WindowsではCtrl+Z
    MACでは+Z
    となります。
    本ハンドブックではWindowsの場合のみショートカットキーを示しますので、MACユーザの方はCtrlに置き換えてください。

    表示

    表示メニューより拡大縮小ズームをリセット再表示が行えます。キー操作では、
    Ctrl++拡大表示します。
    Ctrl+-縮小表示します。
    マウスホイール回転で上下にスクロールします。
    Shift+マウスホイール回転で左右にスクロールします。
    また、矢印キー(UP/Down/Left/Right)でもスクロール可能です。
    Ctrl+0で拡大・縮小倍率と表示位置を既定値にリセットします。
    Ctrl+マウスホイール回転 でも拡大・縮小表示が行えます。
    拡大・縮小は一度の操作で一定比率、拡大または縮小します。
    Ctrl+R再表示します。

    ナビーゲーターは、スコアウィンドウの下側(または右側)に表示されます。
    ナビゲーター(Ctrl+F10)でナビゲーターの表示・非表示を切り替えます。
    ナビゲーター内の青い矩形領域をマウスでドラッグ(掴んで移動)すると、表示領域が移動します。
    ナビゲーター画面内をクリックするとその位置が表示の中心位置になります。
    スコアウィンドウの楽譜をドラッグにより移動することも可能です。ただし小節の上をクリックすると小節が選択されて、楽譜を掴んで移動することはできませんので、小節以外の何もない場所を指してして掴んでください。

    ナビゲーターとパレット



    パレットは、スコアウィンドウの左側に開き、ノート・ディレクティブコマンド名がツリー状に表示されます。▶印をクリックすると展開または折りたたみできます。
    パレット(Ctrl+F9)でパレットの表示・非表示を切り替えます。


    再表示と再表示(クリーン)
    コマンド操作の結果がすぐ表示に完全に反映されない場合(改行等で複数の要素に分割された場合、先頭要素を移動しても、2番めの要素が移動しないなど)があります。その場合は、再表示コマンドで変更により完全に反映されます。(再表示しなくても次回の表示を伴う編集コマンドで正しく表示されます。)
    再表示(クリーン)は、ノート・ディレクティブのハンドル(赤い記号)と非表示設定された要素(灰色で表示)を非表示にします。その結果は、PDFファイル出力時と同じ外観になります。再表示コマンドまたは再表示を伴う他の編集コマンドでクリーン指定なしの表示に戻ります。

    処理の取り消しと再実行

    すべての編集操作元に戻す再実行が可能です。
    編集メニューより元に戻すまたは再実行を実行するか、
    キーボードから、
    Ctrl+Z元に戻します。
    Ctrl+Y再実行します。
    レイアウトコントローラによる操作は取り消しの対象となりません。各操作ボタンは必ず逆方向の操作とペアになっていますので、逆の操作をして戻してください。

    要素の選択とコンテクストメニュー

    マウスの左クリックで要素を選択します。選択できる要素は、選択後に移動削除右クリックでメニュー(コンテクストメニュと呼びます)表示などができる可能性があります。
    複数要素を選択することも可能で、Ctrlを押しながら、要素を続けて左クリックします。選択した要素に対するコマンド操作は、コマンドが複数要素に対応していれば選択要素の全てに、そうでなければ最初の要素に対してのみ実行されます。
    コンテクストメニューの表示 要素を選択してマウスの右ボタンをクリックすると要素によってはコンテクストメニューが表示されます。メニューを一つを左クリックするとそのコマンドが実行されます。

    削除

    JapoScore上で入力したディレクティブや、改行マークなどは削除することができます。
    削除対象を選択して、キーボードからDelete削除します
    削除対象となるもの:
     ディレクティブのうち、シンボル類はシンボルを選択して削除キーを押します。
     ディレクティブのうち音階、移調、繰り返し等、横に赤いマークが表示されるものは、このマークを選択して削除キーを押します。
     改行、改ページ、空白ページの挿入は、それぞれのマークを選択して削除キーを押します。
    注意:インポート元の五線譜のデータの要素はJapoScoreでは削除、追加、編集はできません。五線譜編集ソフト(MuseScoreを推奨)で行ってください。

    言語

    ユーザインタフェースの言語は日本語/英語/中国語のうちのいずれかを選択できます。
    Languageメニュより、選択してください。

    設定ダイアログ共通

    パート設定ダイアログ、小節/ページ設定ダイアログ、スタイル設定ダイアログの最下段に次のボタンがあり、動作は共通です。
    既定値を設定:ダイアログの設定値をシステムの既定値に戻します。
    適用:ダイアログの設定値を適用します。(設定値に変化がなければ適用はされません。)
    OK:設定値が変更されていれば適用して、ダイアログを閉じます。
    キャンセル:ダイアログを閉じます。既に適用されたものがキャンセルされるわけではありません。Escを押してダイアログを閉じることもできます。
    詳細:詳細情報が表示されて、より詳細な設定が可能になります。パート設定ダイアログと音階設定ダイアログに詳細ボタンがあります。

    パート設定ダイアログを除き、設定ダイアログは、開いたまま(閉じなくても)、その他のコマンドが実行できます。同時に複数の設定ダイアログを開くことも可能です。

    ヘルプ

    ヘルプメニューより
    オンラインハンドブックでオンラインのハンドブック(これ)を表示します。

    JapoScoreについては、使用しているJapoScoreの版数情報などが表示されます。
    版数が最新でない場合は、最新の版数情報が表示されますので、最新版をダウンロード・インストールされることをお勧めします。

    また、JapoScoreの起動時にも、版数が最新でない場合に最新版の存在を知らせるメッセージが出力されることがあります。このメッセージは、同じ日には最初の起動時にしか表示されません。


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    ファイル操作

    ファイルの種類とファイル操作コマンドについて説明します。

    ファイルフォーマット

    JapoScoreでは次の5種類のファイル形式を扱います。

    • MusicXML形式(*.musicxml, *.xml)
      JapoScoreのインポート対象のファイル形式です。MusicXMLは五線譜スコアデータの標準形式の一つであり、多くの楽譜編集ソフトウェアがサポートしています。音階データもこの形式のファイルから入力することもできます。
    • JapoScore形式(*.sscx)
      JapoScore独自のファイル保存形式です。インポートされたMusicXMLデータとJapoScoreの固有データを加えた形式です。
    • PDF形式(*.pdf)
      JapoScoreでは、スコアをPDFファイルにエクスポートできます。
    • SVG形式(*.svg)
      作成したスコアをSVG形式のファイルにもエクスポートできます。SVG形式ファイルはInkscapeやIllustratorなどの図形編集ソフトで編集することができます。
    • JapoScoreテンプレート形式(*.sstx)
      JapoScore独自のファイル保存形式です。テンプレートコマンドが扱う形式でパート設定小節/ページ設定スタイル設定のセットです。

    開く

    ファイルメニュー



    ファイルメニューより、
    開くでJapoScore形式のファイルを指定して開きます。ファイルをスコアウィンドウにドラッグ&ドロップすることでも開けます。

    最近開いたファイルにより、最近開いたファイルのリストが表示されるので、リストの中からファイルをクリックして開きます。

    サンプル/テンプレートファイルを開くは、サンプルとテンプレートファイルのリストを表示しますので、リストの中からファイルをクリックして開きます。サンプルファイルとテンプレートファイルは上書きできませんので、保存したい場合はファイル|名前を付けて保存してください。

    テンプレートとは、スコアの設定情報一式(パート設定、小節設定、ページ設定、スタイル設定)を指します。インポートMusicXML模倣コマンドを実行した場合は、開いているスコアのテンプレートがインポートしたファイルに適用されます。つまり開いているスコアと同じ設定のスコアが生成されます。
    (テンプレートファイルは通常のスコアファイルやサンプルファイルとまったく同じデータ形式(*.sscx)ですが、テンプレートとして使用されることを意図しています。)


    インポートとエクスポートコマンドはファイルメニュよりインポート/エクスポート…を実行し、インポート/エクスポートダイアログを開き、オプションを選択してインポートまたはエクスポートコマンドを実行します。

    インポート/エクスポートダイアログ

    インポート

    インポート/エクスポートダイアログで、ソース(インポート元)をファイルMuseScoreに設定しておきます。MuseScoreを選択した場合はMuseScoreのプラグインExportToJaposcoreで出力したファイル(一時ファイル~user/musescore_exported.musicxml)をインポートします。

    インポートMusicXML新規でmusicXML形式(*.musicxml, *.xml)のファイルをインポートします。既定の設定(パート、小節/ページ、スタイル設定)でスコアが表示され、続いてパート設定ダイアログが表示されますので、パートの設定を行ってください。箏や三絃などを記法として選択した場合は、更に音階の編集画面が表示されます。

    インポートMusicXML模倣でmusicXML形式(*.musicxml, *.xml)のファイルをインポートします。現在表示しているスコアの設定(パート、小節/ページ、スタイル設定)をインポートしたスコアに適用します。

    インポートMusicXML更新は、アクティブな(現在表示している)スコアのMusicXMLの内容をインポートするMusicXMLファイルで置換えます。現在表示しているスコアのMusicXMLデータと比較して、変更があった小節のMusicXMLデーのみが取り込まれます。新しく置き換わった小節のノートに付加してあったディレクティブ、小節の改行類、小節のスケール等の情報は、そのまま残ります。(ただし、ノートディレクティブ情報は小節内のノートの順番に対応して再度割付られるので、ノートの対応の順番が変わる場合は、ディレクティブがずれますので、ディレクティブの入れ直しが必要になります。)

    ドラッグ&ドロップによるインポート
    musicXMLファイルをスコアウィンドウにドラッグ&ドロップするとインポートされます。開いているスコアにドロップした場合はインポートMusicXML模倣コマンドを実行します。スコアが一つも開かれていない場合は、インポートMusicXML新規コマンドを実行します。

    エクスポートMusicXML

    ターゲット(エクスポート先)を、ファイルMuseScoreに指定します。MuseScoreを指定すると一時ファイル(~user/murescore_exported.musicxml)にエクスポートされます。

    エクスポートMusicXML(五線譜用ノート)は、歌詞パートにJapoScore上のスコアのノート名(尺八音名や箏の音名)を入れて出力します。パートダイアログの出力制御で五線譜ノートにチェックが入っていることが必要です。出力条件の詳細設定はパート設定で行います。

    五線譜用ノート用のフォントは、記譜法毎に用意されているフォントの中の代表的なフォントが使用されます。
    ドレミは、五線譜用ノートは出力されません。

    エクスポート PDFでは、名前を指定してPDFファイルをエクスポートします。
    複数ページの出力形式も参照してください。
    印刷コマンドは用意していませんので、PDFに出力して印刷してください。)

    エクスポート SVGでは、名前を指定してSVGファイルをエクスポートします。
    複数ページの出力形式も参照してください。ページ数だけの個数のSVGファイルに出力されます。ファイル名は、”filename_p001.svg”, “filename_p002.svg”, …となります。
    ファイル名が存在する場合、置き換えるかどうか聞かずに置き換えます。

    保存

    保存(Ctrl+S)では、現在開いているスコアにファイルに上書きします。

    名前を付けて保存(Shift+Ctrl+S)では、名前を指定して別ファイルに保存します。

    コピーを作成(Ctrl+D)では、スコアのコピーを作成します。

    その他のファイル関係コマンド

    ファイルのプロパティでは、ファイルパス名最終保存時のJapoScoreの版数と日時を表示します。
    最近開いたファイルのリストをクリアするでは、最近開いたファイルのリストをクリアします。
    閉じる(Ctrl+W)では、現在開いているスコアを閉じます。
    終了(Ctrl+Q)では、JapoScoreを終了します。現在開いている全てのスコアが閉じられます。

    ファイルの自動保存機能

    JapoScoreが正常終了(終了ボタンが押されて正常に終了)しなかった場合(強制終了、異常終了の場合)、開いていたスコアの自動保存ファイルが残ります。(ただし、更新がないスコアは残りません。また、自動保存は1分間隔なので、最後の1分間で行われた更新は保存されていない可能性があります。)
    自動保存ファイルが残っている場合に次にJapoScoreを起動すると、自動保存ファイルを開くかどうか問われます。開いた場合は必要なら、必要なら名前を付けて(また元のファイル名で)保存してください。保存しない場合は、削除されます。また、自動保存ファイルを開かないと選択すると自動保存ファイルは(複数ある場合はすべて)削除されます。
    注意:JapoScoreを複数起動(通常はできないが、版数が異なれば可能)すると、2番目以降に起動したJapoScoreで、それ以前に起動したJapoScoreの自動保存ファイルを検出してしまいますので注意してください。

    データ種類と関連コマンド

    JapoScoreが扱うスコアのデータ種類は以下のように分類されます。

    • MusicXML (インポートした五線譜データ)
    • パート設定 (パート設定ダイアログで設定した値)
    • 小節/ページ設定 (パート設定ダイアログで設定した値)
    • スタイル設定 (スタイル設定ダイアログで設定した値)
    • ノート・ディレクティブ (ノートに付加したノート・ディレクティブ)
    • レイアウト(小節の改行・改ページ等、小節の拡大スケール値)

    関連するコマンドがどの種類のデータを対象にしているかを知っておくとコマンドの動作の理解に役立つかと思います。

    • 開く/保存コマンドは、スコアのすべての情報を扱います。MusicXMLデータも含んでいます。
    • インポート新規コマンドは、MusicXMLデータを読み込み、パート、小節/ページ、スタイルの各設定は既定値を使用します。
    • インポート模倣コマンドは、MusicXMLデータを読み込み、パート、小節/ページ、スタイルの各設定は今開いているスコアのものを複製して使用します。
    • インポート更新コマンドは、MusicXMLデータを読み込み、今開いているスコアのMusicXMLデータのみを更新します。小節数とパート数が一致していることを想定しています。
    • テンプレートは、スコアのパート、小節/ページ、スタイルの各設定情報のみを保存したファイルです。
      テンプレートを適用(インポート)することは、インポート模倣コマンドに類似しています。

     

     

    表: データ種類と関連コマンド
    データ種類 開く/保存 インポート
    MusicXML
    新規
    インポート
    MusicXML
    模倣
    インポート
    MusicXML
    更新
    エクスポートMusicXML テンプレートの
    インポート/
    エクスポート
    MusicXML ◯更新
    パート設定 △既定値 △複製 ◯不変
    小節/
    ページ設定
    △既定値 △複製 ◯不変
    スタイル設定 △既定値 △複製 ◯不変
    ノート・
    ディレクティブ
    ◯不変
    レイアウト
    (改行、改ページ)
    (小節のスケール)
    ◯不変

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    五線譜の作成

    JapoScoreは、五線譜データ(MusicXML形式)を読み込んで邦楽スコアに変換します。
    五線譜の作成・編集にはMuseScoreを使うことお勧めします。

    MuseScoreとMusicXML

    MuseScoreは他の主要なスコア編集ソフトと同様に、楽譜の世界標準ファイルフォーマットであるMusicXML形式のファイルを出力することができます。
    JapoScoreでは、このMusicXML形式のスコアファイルを読み込むことができますので、広く流通するスコアファイルやスコア編集ソフトを利用できます。

    JapoScoreでは邦楽スコアに必要かつ充分と考えられる範囲に絞って、MusicXMLデータを解釈し邦楽譜への変換を行います。変換されない要素もありますのでご注意下さい。詳細は、サポート対象のMusicXML要素を参照ください。

    五線譜のスコアの作成にはMuseScoreを使うことを強くお勧めします。その理由は、

    • JapoScoreはMuseScoreの出力するMusicXMLデータを対象に開発とテストを行ったため、相性が良いと考えられます。
    • MuseScoreの扱う要素名とJapoScoreの扱う要素名が直接対応していて、わかりやすいこと。
    • MuseScoreとJapoScoreの間で一時ファイル経由でMusicXMLデータをやり取り(インポートとエクスポート)する機能が用意されていること。
    • MuseScoreは高機能であり、フリーで使え、使い勝手も良いこと。

    です。

    注意:MuseScore以外のソフトで出力されたMusicXMLデータについての注意事項
    (1) MusicXMLは大変大きい仕様であり、関連ソフトが出力するデータは各社、必ずしも同じではありません。そのため、JapoScoreが想定していないデータがあれば、処理できない可能性があります。
    (2) また、五線譜のスコアを画像認識するソフト(KAWAIのスコアメーカーなど)の出力はご認識やデータの不備が多く散見されます。まずは、五線譜が正しいか目視により入念に確認してください
    (3) MuseScore以外のソフトで出力されたMusicXMLデータは、MuseScoreにインポートしてからエクスポートしてください。それにより、データ不備はある程度解消されます。
    (4) それでもまだ、データ不備が残る場合があります。おかしい小節が特定できる場合は、MuseScore上で次を実行してみてください。おかしい小節をコピーし、それ自身にペーストしてみてください。データ不備が解消される場合があります。それでもダメな場合は小節内のノートをすべて削除して手で入れ直してみてください。

    以下は、2019年4月時点で各社ソフト調査です。少し古いですが参考にしてください。
    Finale, Sibelius, Dorico等の出力ファイルの注意事項

    サポート対象のMusicXML要素

    基本

    JapoScoreがサポートするMusicXML要素(MuseScore画面) (クリックするとPDFファイルを開きます)



    尺八譜に変換した例(横書きの場合)(クリックするとPDFファイルを開きます)

    以下にサポートしている要素を羅列します。
    装飾音符、拍子記号、縦線(小節線)、スラー、タイ、<(クレッシェンド)、>(ディミヌエンド)
    括弧付き数字(繰り返し記号)、トリル、グリッサンド、ブレス、
    ✩アーティキュレーション(フェルマータ、ブレス、アクセント、スタッカート、テヌート、テヌート・アクセント、トリル、ハーモニック) 
    強弱記号(ppp, pp, p, mp, mf, f, ff, fff, fp)、トレモロ(1音の繰り返し、2音の繰り返し)、アルペジオ
    反復記号(セーニョ、コーダ、Fine、To Coda、D.C.、D.C.al Fine、D.C. al Coda、D.S. al Fine、D.S.)
     注意:小節の反復記号%を使用しないことをお勧めします。
      理由は、JapoScoreで%に変換されますが、テキスト、クレッシェンド類、線などが表示されません。また、musicxmlにエクスポートしたときにも、%記号、クレッシェンド類、線などがMuseScoreで表示されません(MuseScore(3.6.2)のmusicxmlインポート機能が不完全)。前の小節をそのままコピーし、JapoScore上で長い繰り返し記号に変換してください。
    表題領域テキスト(タイトル、サブタイトル、作曲者、作詞者など)
     注意:タイトル、サブタイトル、作曲者、作詞者などはMuseScore上で、削除や挿入を行った場合、これらのデータの順番が変わるようです。JapoScore上では、データ順に、最初がタイトル、次がサブタイトルというふうに仮定して処理しますので、位置やフォント設定が入れ替わってしまいます。
     注意:コピーライト情報は、JapoScoreに(処理上の都合により)インポートされません。削除されます。
    譜表テキスト、リハーサルマーク、歌詞
    テンポ記号 (注意)テンポの拍数の数字を範囲(例えば80~96)で指定したい場合、”~90″の部分テンポ記号には入れずに(先頭付近の)ノートのテキストに割り付けてください。
    小節線 小節線は標準的なものはJapoScore上でも表示されます。標準的でないものは、JapoScore上では表示されません。その場合は、拍子記号も非表示になります。標準的でない小節線にはMuseScoreでの’tick’や’short’です。
    パート毎に小節線を変えることはできず、パート1の小節線がすべてのパートに使用されます。

    MuseScoreのパレットの縦線(小節線)メニュー。枠内が標準的でないもの。



    MuseScore上での表示

    JapoScoreでの表示

    上級

    (直線、破線、点線、両端括弧付き)
    線はMuseScoreでは、下のスクリーンショットのように、パレットからを選択します。入力された線を選択してインスペクタ(右側に表示される)から線の各種設定が行えます。JapoScoreでは直線、破線、点線、両端括弧ありなしのみ処理します。

    Finaleでは、変形図形パレットより入力します。

     MuseScoreでは、線の始点にテキストを入れることができます(インスペクタの始点にチェックを入れることで入力が可能)。始点のテキストは、JapoScore上では、線と別の要素として表示されます。また、テキストの先頭に”.”を入れておくと、縦書き表示されます。

    ✩波線
     MuseScoreの線では波線が表現できませんが、線の始点テキストの最後に”~”を入れておくとJapoScoreでは波線に変換します。



    ✩線付きのトリル記号
     線付きのトリル記号は”tr”マークとギザギザの線に変換されます。それぞれ独立に移動処理が可能です。



    ポルタメント(スライド)
     スライドは、MuseScoreではストレート線のグリッサンドを入力します。JapoScoreではスライド(=ストレート線のグリッサンド)をポルタメントとして表示します。波状線のグリッサンドとの違いを以下に示します。

    スクイ(上げ弓(V), up-bow)
    箏譜および三絃生田では、”V”記号(up-bow, 上げ弓)は、ス(スクイ)に変換されます。

    スクイへの変更は、JapoScore上で音名変更から行うこともできます。

    ✩ピチカート、はじき(+)
    “+”記号は、箏ではピチカート(ノートを◯で囲む)に、三絃生田譜では、前の音と同音なら、ハジキ”⋀”に、異なる場合には、ハジキ付きノート名に変換されます。

    箏譜のスクイとピチカート

    三絃生田譜のスクイとハジキ

    MuseScore上では”+”記号および”V”記号は、和音全体にのみに指定が可能で、ノート毎に指定はできません。和音の”+”記号および”V”記号は、JapoScore上では、和音の全てのノートに対して”+”記号および”V”記号が適用されます。

    “+”記号および”V”記号を、和音の一部のノートのみに適用したい場合は、MuseScore上での指定をせずに、JapoScore上で和音のノート毎に、ノート名の変更(箏のスクイ、三絃のスクイ、ハジキ)またはディレクティブからピチカート(箏のピチカート)を指定してください。

    単独のノートのピチカートはノートを円で囲んで表示します。
    和音内でピチカートが続く場合、それらのノートをまとめて囲って表示します。
    和音のノートをグループに分けて囲って表示したい場合(右手と左手で分けて弾く場合など)は、声部(ボイス)を分けてください。声部毎に囲って表示されます。
    声部に分けたくない場合(和音で済む場合)は、MuseScore上で”+”サインをつけずに、JapoScore上でディレクティブの属性からノート毎にピチカートを指定してください。

    注意:MuseScore上のノートの”+”記号および”V”記号は、JapoScore上で箏譜のスクイとピチカート、または三絃のスクイとハジキに変換されますが、MuseScoreに記号がない場合、JapoScore上でもディレクティブや音名変更で同様の変換が可能です。
    “+”は箏譜ではピチカートになりますが、JapoScore側でこれを削除できませんのでMuseScoreで行ってください。箏譜用の”V”、および三絃用の”+”記号および”V”記号は、JapoScore側で音名変更によって書き換えることができますが、MuseScore側で指定するかJapoScore側で指定するか統一することをお勧めします。(MuseScore側での指定をお勧めします。ただしMuseScoreでは、和音のノートのうち一部だけをピチカートにすることはできませので、JapoScore側でピチカート指定する必要があります。)


    フィンガリング(指番号)
    MuseScore上でノートにフィンガリングを指定した場合、JapoScore上でノートの横にフィンガリングが表示されます。
    フィンガリングは、JapoScoreでは0から5(0,1,2,3,4,5)のみ処理されます。
    一つのノートに複数のフィンガリングを指定することもできます。
    同じフィンガリングが以降のノートに連続する場合、後続のノートのフィンガリングに”–“(半角ハイフン2個、以下同様)、または同じフィンガリングを入れておくと2番目以降はJapoScore上では、線に変換して表示します。ただし、”線を引く(同じフィンガリングが続く場合)”のチェックを外すと線は引かずに数字を表示します(4.3.5版以降)。
    JapoScore上では、線に変換して表示します。(MuseScore上でフィンガリングに”–“を入れるには、フィンガリングのメニュから一旦任意の数字などを入れてからテキスト編集してください。)
    和音内のノートに付けられたフィンガリングで同じ指番号または”–“を入れると、線は和音方向に表示されます。
    フィンガリングはマウスでドラッグして移動できます。
    線は小節毎に分割されたセグメントになっていますので。個別に移動してください。
    尚、”–“はMuseScore以外の五線譜編集ソフトでは無効なフィンガリングとして無視されることが多いので、同じ指番号を使うことをお勧めします。(同じ指番号で線を引く機能ははV4.2.3以降のみ)

    MuScore上のフィンガリングの例

    JapoScore上での表示(上記の例をインポート)

    装飾音の後打音
    MuseScoreでは後打音の装飾音入力することができます。スクリーンショットの練習番号A、Bは後打音として、Cは前打音として入力した例です。MuseScoreでは、後打音は前打音と同じ扱いです。
    JapoScoreでは、Aのようにスラーを付けておくと後打音と見なし、前の音に近づけた配置を行います。
    Bの例は次の小節の先頭のノートの装飾音を前の小節の最後に入れた場合の例です。入力は前の小節のノートの後打音として入力します。
    Cは一般的な装飾音の入力の例です。

    (注意) スラーの終点が装飾音符である場合に、その装飾音符は後打音であると(簡易的に)判定します。前打音の装飾音符をスラーの終点とすると誤って後打音と判定し、後打音となります。前打音の場合はスラー終点を装飾音符でないノートとしてください。

    和音

    和音は、縦書きでは最低音を左側に、横書きでは下側に配置します。
    尺八など単旋律の楽器では、和音は本来ありませんが、五線譜データのとおりに和音を表示します。和音のノートの配置は、箏_正派と同じになります。
    和音のノートの甲乙表示は、和音の最低音から数えて番号付けしたとき、前の和音(単音を含む)に同じ番号のノートがあればそれとの比較で甲乙を付与します。

    (ヒント)和音を使った尺八譜のコーラス
    尺八の(例えば)二重奏は、五線譜上では別々の声部とするのが本来ですが、リズム系が同じなら和音で表現した方がより簡単なことがあります。
    スクリーンショットの「庭の千草」の例では、五線譜では最後の2小節は2つのメロディーはリズムが異なるので声部を分け、その他の部分はリズムが同じなので和音で書いてあります。
    縦譜では、いずれも声部が別れているように見えますが、小節内の途中でユニゾンからコーラス(またはその逆)に変化する場合、和音による方法ではユニゾン部が一本になる(小節番号、23、25)ので、コーラスとしてユニゾンからコーラスへ、コーラスからユニゾンへの移行がより自然に表現されます(声部を分けるとユニゾン部分も別々になります)。
    庭の千草(MuseScore五線譜)

    庭の千草(JapoScore) (サンプルファイルにあります)

    ボイス(声部)

    ボイス(声部)が複数ある場合は、縦書きではボイス番号の若い順に右から左へ並べます。横書きでは上から下へ並べます。

    春の海の和音と和声の部分(MuseScore) (クリックするとPDFファイルを開きます)


    春の海の和音と和声の部分(JapoScore) 


    複数声部における休符の非表示について
    MuseScoreでは、ボイス(声部)2以降のノートの休符を削除することができ、休符を表示しないことが可能です。このような非表示の休符はJapoScore上でもその休符が非表示になります。

    歌詞の後ろに伸ばす線を入れる
    (V4.2.3より)
    スタイル設定ダイアログより「歌詞の間を線で結ぶ」をチェック(規定でON)すると、歌詞から次の歌詞、休符、ブレスの前まで線が表示されます。ある長さ以下の線は表示されません。(全角ハイフン”ー”は不要となりました。削除をお願いします。)
    英語の歌詞の場合は「歌詞の間を線で結ぶ」をオフにしてください。

    (以下はV4.2.2まで)
    ノートの歌詞テキストの後ろに全角ハイフン”ー”を入れておくとJapoScore上では次の(タイで結ばれていない)ノートの先頭まで線を引きます。サンプルファイル”Sakura_Sangen_Ikuta”に例があります。(MuseScoreのシラブル機能はこの目的には適しません。)
    ノートの歌詞テキストに全角ハイフン”ー”のみを入れた場合は、歌詞テキストなしで、同様に線を引きます。
    注意:タイの終点ノートには全角ハイフン”ー”を入れないこと。(入れるとそのノートから線が開始されます)


    ‹ 五線譜の作成 |↑目次 | パート ›


    パート設定

    編集|パートの設定またはCtrl+Pパート設定ダイアログを開き、パート毎の各種設定を行います。(インポート新規コマンドでは、パート設定ダイアログが自動的に開きます。)

    パート設定ダイアログ(基本)

    パート設定ダイアログ(詳細)


    まず、左側のパートリストから設定を行うパートをクリックして選択します。

    パート名、パート短縮名は、初期値はMusicXMLのデータになりますが、ここで編集できます。パート名とパート短縮名はスコアの各パートの先頭に表示されます。それらの表示・非表示の制御はページ設定ダイアログから行います。

    記譜スタイル、フォント・フォントサイズ、楽器のキー

    記譜スタイルでは、パートの記譜スタイルを選択します。全ての記譜スタイルで横書き縦書きの両方が選択可能です。

    記譜スタイルには、以下があります。
    尺八_琴古_簡易山川形式と呼ばれるもの。
    尺八_琴古琴古流とくに古曲に使われている形式。
    尺八_都山都山流形式。
    篠笛:篠笛用。数字譜(山川譜)乙音に漢字を併用する方式の2種類のフォントを用意している。
    箏_生田:生田流の箏譜の形式。家庭式とも呼ばれる。
    箏_山田:山田流の箏譜の形式。
    箏_正派:正派の箏譜の形式。音価の線は尺八_琴古_簡易(山川形式)と同じ。
    三絃_生田:生田流の三絃譜の形式。家庭式とも呼ばれる。
    三味線_文化:長唄でよく使われる文化譜。
    ドレミ:音名にドレミファソラシドを使用する。
    パーカッション:打楽器のシンボルを表示します。
    それぞれの形式のスコアをサンプルファイルとして用意していますので、ファイルメニューからサンプルファイルを開いてみて下さい。

    フォント名では、それぞれの楽譜のスタイルに用意されたフォントファイルから一つを選択します。

    フォントサイズ(比率)では、パートのフォントの大きさを比率で指定します。パートの音符やテキスト、ダイナミクスなどの記号などが全て連動して大きさが変わります。

    パート幅(比率)では、パートの幅を比率で指定します。ページ設定のパート幅は全てのパートに適用されますが、この設定ではパート毎に幅を変えることが可能です。

    楽器のキーの指定(移調)

    楽器のキーで移調ができます。移調する幅は1尺8寸D管(篠笛では8本C管)を基準にして半音刻みで指定します。
    パートの途中から移調したい場合は、移調のディレクティブを使ってください。

    パート間時刻整列

    ノートの時刻で整列をチェックすると、時刻に比例した位置に整列します。その結果、時刻で整列を指定したパート間では、同じ時刻のノート同士は時間方向に同じ位置に揃います。箏や三絃では、時刻刻み(長針・短針目盛り)を表示するために、時刻での整列設定は必須となります。整列する時刻の分解能は32分音符です。

    ノートの音価に対するノートの幅と間隔

    ノート幅は横書きなら幅、縦書きなら高さです。パート設定で指定したフォントサイズを1として、比率で指定します。音価(音の長さ)毎にノート幅を変えることができます。

    ノート間隔はノートから次のノードまでの間隔の初期値であり、ノート幅に対する比率で指定します。
    すべてのパートに設定するをクリックすると、パート間時刻整列、ノート幅、ノート間隔の設定をすべてのパートに設定します。

    長針・短針を表示するには、ノートの時刻で整列がチェックされていることが必要です。長針・短針は箏_生田の形式の体裁を表示するのに必要ですので、箏_生田の場合にはいつもチェックしてください。刻みは通常は8分音符単位ですが、短針を16分音符単位とすることもできます。
    ノートの時刻で整列は、箏_生田のほかには、スコアが複数パートからなり、パート間の時間関係をはっきりさせたいときに指定すると良いでしょう。

    パート境界線と長短針

    右(または上)をチェックするとパートの右側(縦書きの場合)、または上側(横書きの場合)のパート間境界線を描きます。
    左(または下)をチェックするとパートの下側(縦書きの場合)、または左側(横書きの場合)のパート間境界線を描きます。
    長針と短針を表示をチェックすると4分音符単位(6/8拍子等では3/8単位)の時刻に長針を、8分音符単位の時刻に短針を表示します。16分単位の短針をチェックするとより細かい16分単位の短針を表示します。
    記法として箏生田または三絃生田を選択すると、長針と短針を表示が自動的にチェックされます。
    長針と短針を表示にはノートを時刻で整列がチェックされていることが必要になります。
    長針と短針の長さは、スタイル設定ダイアログの小節タブの時刻目盛りから設定が可能ですが、箏生田または三絃生田の場合は設定値によらず固定値(100%、50%)です。

    出力制御

    パートのチェックを外すとパートが非表示になります。パート譜を作成する場合に不要なパートのチェックを外します。

    全休符行のチェックを外すと改行までの小節がすべて全休符であるパートは非表示になります。
    チェックを外したパートでも、部分的に非表示にしたくない行は、その行内の小節に全休符以外の休符を含むようにすれば、表示させることができます。
    (注意:例えば4/4拍子の小節で、全休符と4拍の音価の休符は異なります。MuseScoreでは、全休符は小節の中央に、4拍の音価の休符は、小節の左端に表示されます。全休符を入力したい場合は、MuseScoreでは小節を選択し削除します。)

    ノートのチェックを外すとノートが非表示になります。歌のパートで、歌詞のみ残しメロディを消したい場合を想定しています。

    歌詞のチェックを外すと歌詞が非表示になります。

    全休符のチェックを外すと全休符が非表示になります。

    五線譜用ノートをチェックすると、エクスポートMusicXML(”歌詞部にノート名を出力”をチェック)コマンドの実行時に、このパートの五線譜用ノートが出力されます。
    以下は五線譜用ノート出力のオプションです。
    逆順
    和音のノート名の上下の並び順を逆転させます。チェックなしでは、下から上に低音から高音へ、チェックすると下から高音から低音へノート名が並びます。
    ノート名のみ
    チェックすると、ノート名のみ出力され、付点、延長記号、尺八の場合の甲乙記号、タイの終点ノート、桁線などは出力されません。
    タイ終点ノート
    チェックするとタイの終点のノート名が表示されます。チェックを外すとタイ終点ノート名は表示されません。
    桁線
    チェックすると尺八譜や正派では、桁線(ビーム)も表示されます。

    開始歌詞番号は、五線譜用ノートを出力する歌詞番号(1,2,3,…)で、既に歌詞がある場合は、重ならないよう2以上の番号を指定します。

    歌詞の設定

    歌詞のフォントとサイズを指定します。フォントのプロパティフォントの種類とサイズを指定します。フォントのサイズは、フォントサイズ(比率)または、フォントのプロパティからも指定可能です。


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    小節設定

    小節・ページ設定ダイアログ

    小節の方向(横書き、縦書き)の設定

    五線譜のように左から右へ音符を並べる横方向(横譜)と、上から下へ音符を並べる縦方向(縦譜)のいずれかを選択します。縦書きの場合、テキストは時計方向に90º回転して表示されます。
    また歌詞は縦方向(縦譜)の場合、90º回転(英語など)がチェックされている場合は、時計方向へ90度回転されます。縦書き(日本語など)がチェックされている場合は、縦書きされます。

    歌詞以外のテキストやタイトル類の文字列の先頭に”.”(ピリオド)を入れておくと、縦方向(縦譜)の場合に、文字列を回転せずに、縦書きにします。日本語など縦書きの言語に有効です。横方向(横譜)では”.”は無視されます。
    最近の版では、JapoScore側で歌詞以外のテキスト類の方向指定がJapoScore側で可能です。横、縦、縦書き、規定のいずれかを指定できます。

    縦書きする場合にはプロポーショナルフォントは避けて下さい。サイズが不揃いになり、縦にキレイに整列しません。
    括弧記号”(,),{,}”など、そのままでは縦書きに適さない文字はできるだけ、縦書きに適する文字に変換しています。

    小節のスタイルと幅

    格子状を選択すると、小節を矩形で囲った格子状の表示になります。
    帯状を選択するとステージ間にスペースがある帯状にステージが表示されます。ステージ間の間隔が指定できます。

    パートの幅では、パートの高さ(横書きの場合)または幅(縦書きの場合)をノートのフォントサイズに対する比率で設定します。
    最終ページを(ページ一杯に)拡大するをチェックすると、最終ページの段の間隔を広げてページ一杯に分散させます。
    最終ページ以外のページは、常にページ一杯に拡大されます。

    ステージの小節数

    一定数/ページ幅(または高さ)をオンにすると、1段当たりの小節数を一定数に、また自動オンにすると自動的に決まります。
    自動の場合は小節のスケール(比率)により、全ての小節の幅の伸縮比率を指定できます。
    最終段をページ幅(または高さ)に合わせるをチェックすると、最終行をページ幅(横書きの場合)または高さ(縦書きの場合)一杯に広げます。

    パート名表示

    パート名、パート短縮名の表示/非表示を切り替えます。
    パート名表示をチェックすると、パート短縮名がチェックされていれば短縮名をチェックされていなければパート名を表示します。
    パート名をチェックすると、スコアの初段の小節の前にパート名を表示します。
    パート短縮名をチェックすると、各段の先頭の小節の前にパート短縮名を表示します。パート名がチェックされていれば初段にはパート名が表示されます。
    初段のみ表示をチェックすると、スコアの初段の小節の前のみにパート名またはパート短縮名を表示します。

    小節番号

    小節番号の表示/非表示を切り替えます。
    小節番号表示をチェックすると格段の右上に段の先頭の小節番号を表示します。

    段括弧記号

    パートが複数のときに、段括弧記号の表示/非表示を切り替えます。

    ページ番号

    ページ番号表示をするかどうかの指定とページ番号の開始番号を指定します。
    ページテキストの内容はページ番号の左に表示されます。

    レイアウト|ページ設定からページ設定ダイアログを開きます。


    ‹ 小節設定 |↑目次 | ページ設定 ›


    小節/ページ設定

    ページ設定では、小節/ページ設定ダイアログを使って、ページの構成、ページと段と小節の配置などに関して、多くの設定を行います。

    小節・ページ設定ダイアログ



    ページ設定ダイアログではスコアのレイアウトに関して用紙、ページ、スコアの方向、パート・段(一行に並んだ小節群、ステージとも言う)・小節のサイズ等、多くの設定を行います。

    用紙サイズ、向き、ページマージン

    用紙のサイズ(A3/A4/B4/B5/JIS B4/JIS B5/カスタム/A3横 (A4縦 x 2)/B4横 (B5縦 x 2)/JIS B4横 (JIS B5縦 x 2)と向きを設定します。
    カスタムを選択した場合は、カスタムサイズを指定します。A3横 (A4縦 x 2)等は見開き2ページ構成です。
    ページマージンは、スコアの描画エリアの外側のページマージンを設定します。

    表題

    表題領域は、曲のタイトル、作曲者名、などのテキストが描かれる矩形の領域であり、最初のページの上部にあります。
    表題領域の幅では、表題領域の幅(横書きでは高さ、縦書きでは幅)をmm単位で指定します。下パッドは、段の領域との間隔をmm単位で、表題領域の外形を描画をチェックすると外形線の太さで線を描画します。
    カバーページを挿入をチェックすると、先頭に空白ページを挿入します。これをタイトル等を表示するには、表題領域から、テキスト要素(を予め余分作っておいて)をカバーページにドラッグします。

    複数ページを連結する(複数ページの出力形式)

    複数ページの出力形式個別を選択してある場合、PDFおよびSVGファイルにエクスポートした時、複数ページが別々のページ(PDFの場合)またはファイル(SVGの場合)に出力され、連結を選択されている場合は、複数ページを連結して単一のページまたはファイルに出力されます。(PDFに変換した楽譜をタブレットなどでスクロール表示する場合には、複数のページを連結して一枚のページにしたほうが便利なことがあります。)


    ‹ ページ設定 |↑目次 | レイアウト編集 ›


    レイアウト編集

    ページ設定により基本的なレイアウト設定が行えますが、さらに小節の伸張または短縮改行や改ページを挿入することによって細かいレイアウトの調整が行えます。

    そのほかテキスト類の移動テキストのフォント変更と方向指定音符名の変更などができます。

    レイアウト・コントローラー

    レイアウト|レイアウト・コントローラーよりレイアウト・コントローラーのダイアログを開きます。



    以下の項目の変更(増加/減少、またはラジオボタンのオプションの切り替えはチェックボックスのオンオフが可能です。

    • パートの幅(広く/狭く)
    • ステージ間の間隔(広く/狭く)
    • 段あたりの小節数(-1/+1) (小節のレイアウト:段当たり固定数の場合)
    • 小節の長さ(長く/短く) (小節のレイアウト:自動の場合)
    • ノート・フォント・サイズ(大きく/小さく)
    • 小節のスタイル(格子状/帯状)
    • 小節のレイアウト(段当たり固定数/自動)、固定の場合は等長のON/OFF
    • 和音内ノート間隔(広く/狭く)
    • 和音の最大幅(広く/狭く)
    • ボイス間隔(広く/狭く)
    • 時間整列(オン/オフ)
    • より均一な時間/サイズ(より均一な時間/より均一なサイズ)
    • ノートオフセット(大きく/小さく)
    • フィッティング(最終ページ/最集段)

    このダイアログでは、ボタンをクリックするたびに直ちに設定が変更されスコアに反映されます。
    元に戻す/再実行コマンドはこのダイアログ上の操作に効きません。逆効果のボタン(+なら-、”広く”なら”狭く”等)で戻してください。
    各種の設定は、パート設定ダイアログ、小節・ページダイアログ、スタイルダイアログで行えますが、よく使う主要な設定項目をレイアウトコントローラーに集め、ワンクリックで変更できるようにしました。

    小節の伸張、短縮

    選択した小節に対してレイアウト|小節の伸張またはCtrl+]で、小節を伸張します。
    同様に、レイアウト|小節の短縮またはCtrl+[で、小節を短縮します。
    1回の操作で数パーセントずつ伸張または短縮します。
    コンテクストメニューから小節のスケールをリセットをクリックすると、スケールを初期値に戻します。
    (全ての小節を一律に伸張、短縮したい場合は、ページダイアログ小節のスケール(比率)で指定するのが便利です。)

    アーティキュレーションと歌詞の位置のリセット

    アーティキュレーションの位置をすべてリセットコマンドは、すべてのアーティキュレーション(スタッカートなど)の位置を既定位置に戻します。
    歌詞の位置をすべてリセットコマンドは、すべての歌詞の位置を既定位置に戻します。


    小節を選択するには、小節の上をクリックします。複数小節を選択するには、小節を一つ選択した後、別の小節をCtrlキーを押しながらクリックすると、2つの小節間の小節がすべて選択されます。

    改行、改ページ、空白ページ

    強制的に改行改ページを行わせることができます。また空白ページの挿入が行えます。

    改行を挿入するには小節を選択し、レイアウト|改行を挿入またはCtrl+Enterを実行します。

    改ページを挿入するには小節を選択し、レイアウト|改ページを挿入または
    Shift+Ctrl+Enter を実行します。

    空白ページを挿入するには、小節を選択し、レイアウト|空白ページを挿入を実行します。
    改行マークとして水色の四角形、改ページマークとして赤色の四角形が表示されます。空白ページのマークとしては灰色の四角形が表示されます。改行・改ページ・空白ページを削除するには、改行マーク、改ページマーク、空白ページマークの四角形を選択(色が黄色に変化)してから、レイアウト|改行・改ページ・空白ページを削除またはDeleteを実行してください。

    記号、テキストの移動と整列

    テキストの多くは移動できます。マウスでドラッグ&ドロップしてください。また、上下左右の矢印キーにより、少しずつ移動することも可能です。複数の要素を選択して、一括して移動することもできます。
    移動可能なもの:尺八譜の甲乙テキスト類歌詞強弱記号(p, pp, f, ff, mp, mfなど)、スラー、クレシェンド、ディミュニエンド、線、アーティキュレーション(スタッカート、アクセント、フェルマータなど)が移動ができます。タイは移動できませんが、配置位置はスタイル設定で変更可能です。
    クレシェンド、ディミュニエンド、線は、複数の段に分割されている場合は、前半の部分を移動してください。再表示すると後半部分も移動後の表示になります。スラーについては、分割された場合、個別に移動が可能です。

    複数の要素を選択して、右クリックしてコンテクストメニューから整列をクリックすると、縦書きでは縦方向に整列し、横書きでは横方向に整列します。最初に選択した要素が基準位置になります。

    コンテクストメニューから位置をリセットをクリックすると初期位置に戻します。

    要素の非表示

    テキスト、スラー、オーナメント、クレッシェンド/デクレシェンド、アーティキュレーション、線の表示/非表示設定を可能にしました。要素を選択してコンテキストメニュから設定します。表示設定は{規定|表示|非表示}の3状態で、表示は常に表示、非表示は常に非表示、規定はシステムの動作に従います(例えば長い繰り返しの中では非表示にするものと表示にするものとがあります)。非表示にすると表示上は灰色でPDF出力では非表示になります。

    テキストのフォント変更と方向指定

    ノートのテキストおよび表題領域に表示されるタイトル、サブタイトル、作曲者などのテキストフォント変更ができます。テキストを選択してから、右クリックして表示されるフォントのプロパティ等のメニューをクリックして表示されるフォントダイアログで変更します。
    テキストの方向(横か縦)は、規定の方向とは違う方向にしたい場合は、テキストを選択して右クリックして方向をクリックするとサブメニュー(横、縦、規定)が表示されますので、いずれかをクリックしてください。
    ・歌詞のフォント変更については歌詞の設定を参照してください。
    ・ノートのテキスト(MuseScoreで言う譜表テキスト、段テキスト)のフォント変更は、スタイル設定の小節タブテキストのフォント・プロパティから変更できます。


    ‹ レイアウト編集 |↑目次 | ノート・ディレクティブ ›


    ノート・ディレクティブ

    ノート・ディレクティブの説明

    JapoScoreでは、個々のノートの対して様々な指示を行えます。この指示をノート・ディレクティブと呼びます。
    ノート・ディレクティブは、ノート名の変更シンボル挿入シンボル付加音階繰り返し記号などに分類されます。それぞれについて以下に説明します。

    ノート・ディレクティブの追加と削除

    ノート名の変更を除き、
    ノートにノート・ディレクティブを追加するには、ノートを選択(複数選択可)してから、パレットのノート・ディレクティブの一つをクリックします。
    ノートのノート・ディレクティブを削除するには、ディレクティブ選択(複数選択可)してから、削除(Delete)します。

    ディレクティブをノートに付加すると赤いマークが表示されます(挿入・付加シンボルは表示されない)。この赤いマーク(ハンドルと呼ぶことがあります)があることでディレクティブの存在と種類を知ることができます。また、ハンドルが表示されるディレクティブはハンドルを選択して削除することでディレクティブを削除できます(挿入・付加シンボルはシンボルを選択して削除します)。

    ノート・ディレクティブ(パレット内)
    ノート・ディレクティブ(前半)

    ノート・ディレクティブ(後半)



    ノート名の変更

    ノート名を既定の名前とは異なる名前を指定するには、音符を選択してから右クリックして別の音符名を指定するを選択すると音符名を変更のダイアログが表示されますので、リストから変更後の音符名を選択しOKをクリックします。




    ノートの横に赤い色で”n”のマークが表示されます。これがノートにノート名指定のディレクティブが付加されたことを示すマークとなります。この”n”のマークを選択して削除(キーアサイン)すれば、指定を解除します。

    乙を”で表示

    乙記号のついたノートの次のノートが甲音(ロの甲以上の高さ)である場合には、乙記号を”(ダブルクオート)に変換することができます。乙記号や”記号を選択して、右クリックするとメニューが表示されます。

    シンボル挿入

    シンボル挿入に分類されるディレクティブ(ディレクティブ一覧参照)は、ノートの前または後ろにシンボルが挿入されます。挿入されたシンボルはノートなどの記号と同じように並べられます。移動処理はできません。

    尺八・篠笛シンボル

    箏生田シンボル

    三絃生田シンボル

    三味線文化シンボル

    シンボル付加に分類されるディレクティブ(ディレクティブ一覧参照)は、ノートの横にシンボルが付加されます。付加されたシンボルは削除と移動処理できます。

    属性(ピチカート)
    ピチカートを表す丸囲いマークを付けます。
    ピチカートは五線譜上で”+”記号がついたノートは自動的にピチカートマークが付きます。ピチカートが多数ある場合は、こちらの方法をお勧めします。

    属性(非表示)
    ノートを非表示にすることができます。
    全休符の非表示はパート設定ダイアログからできます。

    移調(曲の途中での移調)
    あるパートを曲の途中で移調する場合(尺八での持ち替えなど)に使います。移調を開始するノートを選択(和音の場合には最低音を選択)して、移調のディレクティブをクリックし、赤いディレクティブのマークを選択・右クリックして、「移調を半音数で入力」をクリックすると、スクリーンショットのダイアログが表示されるので、半音数を入力してください。

    音階

    箏などの記譜法ではノートに音階(スケール、調弦)を指定する必要があります。
    ノートへの音階の割付:ノートを選択してディレクティブのリストから音階の一つ(箏13弦など)クリックすると、ノートの横に音階のディレクティブが付加されたことを示す赤い音階ディレクティブのマークが表示されます。赤いマークを削除すると指定が解除されます。
    和音を構成するノートに音階を指定する場合は最低音を指定してください。
    また複数ボイスが存在する場合は、一番低い番号(JapoScoreでは縦書きでは一番右側、横書きでは一番下側のボイス)に対して指定してください。休符に音階を割り付けることもできます。
    記譜法に箏を選択した場合は、平調子が既定の音階として使用されます。
    音階をあるノートに指定すると、音階が指定されている次のノートまで、同じ音階が使用されます。
    注意:付加するノートが和音の場合は最低音に、複数声部ある場合には最初の声部(声部1)のノートに付加してください。装飾音の場合には先頭の装飾音に付加してください。音階ディレクティブがない場合は、規定の音階(箏は平調子、三絃は本調子)が適用されます。

    インポート新規コマンドを実行するとパート設定ダイアログが表示され、パートの記法を調弦データが必要な箏や三絃を指定すると、音階ディレクティブの入力と音階の編集を求められます。これは一旦キャンセルして、後で入力・編集することもできます。

    音階の編集

    音階のディレクティブを選択し、右クリックして、コンテクストメニューの音階の編集をクリックすると音階編集ダイアログが表示されます。
    音階編集ダイアログ音階のテンプレートダイアログ

    音階編集ダイアログ(詳細表示の場合:Moreボタンで切り替え)



    音階の編集は、次の操作を組み合わせることで行います。

    1. テンプレートから音階を選択する。

      これをクリックすると音階をテンプレートから選ぶダイアログが表示されますので、音階のノート数を指定して、表示される音階の候補のどれかを選択し、OKをクリックすると、音階の編集ダイアログが設定されます。
    2. 先行する音階をコピーする。
      これをクリックすると一つ手前のノートの音階がコピーされて、音階の編集ダイアログが設定されます。
    3. 音階をファイルから読み込むする。
      音階(調弦)データをMusicXMLファイルから読み込むことが可能です。
      MuseScore等での音階(調弦)データの作成方法:
      先頭小節の最初のノートから音階のノート数(箏なら絃の数13,17,21,25など)だけのノートを絃の番号順に続けて入れておいてください。最後ノートの次は休符か最終小節の終わりとします。
      ノートの音価(4分音符、8分音符等)は任意です。
      複数のパートに別々音階を入れておくことが可能です。”音階をファイルから読み込む”ボタンをクリックして、ファイル名を指定して開き、次に使用する音階名を指定します。音階名は音階ファイル(musicxml) のパート名になります。パート名が複数行の場合は、一行目が音階名になります。
      音階のサンプルファイル
      JapoScoreのダウンロードファイルに”ScaleTemplates.musicxml”がありますのでご利用ください。

    4. 各ノート番号毎にピッチを上げ下げする。
      ピッチを変更するノート番号を左のリストから選択して、ピッチを変更するボタンを操作します。オクターブ、完全四度、半音刻みの上げ下げするボタンがあります。
      ピッチの表記は、中央のドをC4とし、数字はオクターブ番号を表します。
    5. 全体を移調する。
      移調幅を半音数で指定してから、移調するをクリックすれば全てのノート番号を移調します。もう一度クリックすると更に同じ半音数だけ移調します。
    6. コピーする。
      音階データをコピーします。コピーしたら一旦ダイアログを閉じて、他のノートに割り付けられている音階ディレクティブの編集ダイアログを開き、貼り付けることができます。
    7. 貼付けする。
      音階データを貼付けます。

    音階名は、編集してわかりやすいものにしておくと良いでしょう。音階名によって内部の動作が影響を受けることはありません。

    繰り返し記号

    その他のさまざまな制御を行うディレクティブです。
    ノートの繰り返し記号を禁止するディレクティブなどがあります。
    琴古と箏生田の記法では、同じノート名が連続する場合は、2個め以降は既定では繰り返しマーク(丶)を使用しすが、このディレクティブをノートに付加すると繰り返しマークを使用しません。

    複数ノート単位の繰り返し記号
    連続する複数のノートを繰り返し記号(”く”の字)で置き換えることができます。
    繰り返し記号は何種類か用意されています。
    2つのノートを選択した状態で、繰り返し記号のディレクティブをクリックすると2つのノートの区間のノートを繰り返し記号に置き換えられます。
    2つのノートは隣の小節にまたがっても良いですが、3小節以上にまたがることはできません。
    2小節にまたがる場合、最初の小節に改行、改ページ、空白ページが挿入されていても構いません。
    以下にサンプルを2例示します。

    シンボル以外のディレクティブは赤色など色付きで表示され、PDFやSVGファイルへエクスポートするときは描画されません。


    ‹ ディレクティブ |↑目次 | スタイル ›


    スタイル

    小節やノートに関連する要素のサイズや間隔などを微調整できます。
    スタイルメニューより、
    全般を選択するとスタイル設定ダイアログが開きます。小節タブノートタブがあり、
    小節タブでは小節に関連したスタイル設定を、
    ノートタブではノートに関連したスタイル設定を行います。

    スタイルダイアログの小節タブ

    小節タブでは、
    小節
    段の線幅拍子記号サイズ先頭パッド(小節内の最初の音符の前の空きスペース)、末尾パッド(小節内の最後の音符の後ろの空きスペース)をmm単位で指定します。


    時間とサイズの均一性
    時刻整列時に小節内のノートの時間軸の長さや目盛りの間隔を時間的により均一にするか、サイズをより均一にするかを調整できます。箏生田など、拍の位置を表す長針、短針を等間隔に揃えたい時は時間を均一にします。この時、ノートは時間方向(縦譜なら縦方向)に圧縮される傾向になります。一方、サイズを均一にすると、ノートは圧縮されませんが、長針、短針の間隔は不均一になります。両極端の中間を調整可能です。



    小節線と繰り返しドット
    拍子記号と小節線を表示のチェックをはずすと拍子記号と小節線を表示しません。
    その他、小節線細線幅太線幅二重線の間隔リピートドットのオフセット(小節線からの距離)、リピートドットのサイズリピートドットの間隔の調整が行えます。


    時刻目盛り
    長針と短針の線長(パート幅の%)、線幅(mm)を指定できます。
    ただし、記譜法が箏生田の場合には、長針は100%、短針は50%に固定されています。


    和音とボイスの間隔
    ボイス(声部)間の間隔を変えることができます。
    また、和音内のノート間隔を変えることができます。


    テキスト・フォントのプロパティ
    テキスト類(タイトル類以外)のフォントプロパティを設定します。
    (表題領域のタイトル類は、個々に変更できます。)


    練習番号サイズ
    練習番号のサイズを比率で指定します。


    五線譜用ノート・フォント・サイズ
    エクスポート純正MusicXML(ノート名付き)コマンドで出力する五線譜用ノート・フォント・サイズを指定します。(MuseScore上でもスタイルコマンドで変更が可能です)


    スタイルダイアログのノートタブ

    ノートタブでできるスタイル設定を以下に説明します。


    ノート位置:オフセットは、ノートの表示位置(時間方向)の微小な移動量です。レイアウトコントローラからも変更できます。


    歌詞の位置:オフセットはノートの基準位置からの距離です。

    タイ終了ノートのスタイル(簡易琴古、篠笛用)棒線を使用にチェックを入れるとタイの終了ノートを棒線で表示します。この場合タイの記号は表示しません。

    延長記号(箏生田、三絃生田用):4分音符境界のノートの延長記号(中黒三角マーク)を非表示にできます。

    オクターブ指示(甲/乙):倍率でスケールファクターを指定します。

    強弱記号のサイズ:p,pp,f,mfなどの強弱記号のサイズを指定します。


    都山譜メリ音サイズ:都山うの半音の小さい音符の縮小率を指定します。


    装飾音符:装飾音符のサイズの縮小率で通常ノートのサイズに対する比率で指定します。都山は縮小されません。Yオフセットは横書きの場合のY方向のオフセット、Xオフセットは縦書きの場合のオフセットです。


    スラー、タイ、アーティキュレーション、ダイナミクス、クレッシェンド、デクレッシェンドの各オフセット。


    :X,Yオフセットで桁の位置を調整します。線幅、線の間隔の調整もできます。


    ノート・スペーサー:桁の切れ目のクリアランス(間隔)を拡げるための細い見えない要素です。ビームの切れ目の間隔を調節できます。

    ノート・スペーサースペーサーを挿入にチェックを入れると、桁線の切れ目にスペーサーを入れて前後のノート上の桁線端と端が離れるようにします。

    フィンガリング:フィンガリングの数字や文字のサイズを比率で指定します。また線の線幅を指定します。


    ‹ スタイル |↑目次 | 参照資料 >


    テンプレート

    テンプレートとは、スコアの設定情報(パート、小節/ページ、スタイル)のすべてのセットを持つファイルです。
    テンプレートをインポートすると、そのスコアにテンプレートの設定情報が適用されます。
    インポート模倣(開いているスコアの設定情報をインポートするスコアに適用する)の機能に相当します。
    テンプレートのパート数が適用するスコアのパート数より少なく、対応するパート設定情報がないパートでは規定のパート設定情報が使用されます。
    テンプレートファイルの拡張子は”*.sstx”です。

    標準テンプレートのインポート
    予め用意されているテンプレートです。箏や尺八など記譜法やパート構成のパターン別にいくつか用意されています。

    テンプレートのエクスポート
    現在開いているスコアのパート、小節/ページ、スタイル設定をテンプレートを保存しておくことができます。

    テンプレートのインポート
    予め保存しておいたテンプレートを読み込むことができます。

    五線譜表示

    概要

    JapoScoreの五線譜表示機能では以下のことが可能になります。

    • 五線譜と邦楽譜の混在表示が可能です
    • JapoScoreの豊富なレイアウト機能を五線譜にも適用可能です
    • 五線譜の縦書きが可能で縦譜との融合に応用可能です

    サポートされる五線譜要素

    音部記号:ト音記号とへ音記号
    オクターブシフト:8barの上下
    その他は、邦楽譜の場合に準じます。

    スラーの変形

    スラーのカーブの強度を変えることができます。カーブの左半分、右半分のそれぞれのカーブの強度を独立に変更できます。スラーを選択して次の操作が行なえます。
    Ctrl+ 左半分のカーブを強める。
    Ctrl+ 左半分のカーブを弱める。
    Alt+ 右半分のカーブを強める。
    Alt+ 右半分のカーブを弱める。
    スラーカーブのリセットは、ノートを選択して、右クリックして「スラーの変形のリセット」をクリックします。

    変形前
    No change

    左半分の湾曲を強化
    Strong curve on the left half.

    右半分の湾曲を強化
    Stronger curve on the right half.

    左半分と右半分の湾曲の強化の合成
    Added effect of both the left and the right half.

    ノートの移動

    異なる声部のノート同士は重ならないよう自動処理されますが、十分でない場合がありえます。そうした場合、手動でノートを移動することができます。
    休符でないノートは、時間方向(横描きの場合横方向、縦描きの場合は縦方向)に移動が可能で、休符は時間方向とそれに直角方向のいずれの方向に移動が可能です。
    移動操作は、ノートを選択して、{↑|↓|→|←}キーで少しずつ移動します。
    ノート移動のリセットは、ノートを選択して、右クリックして「ノート移動のリセット」をクリックします。

    タイの方向の反転

    五線譜のタイの形状は、上方向か下方向かをJapoScore内で自動的に決めますが、個別に反転させることができます。反転させるには、タイの開始ノートを選択して、Kキーを押します。押す度に反転します。
    (注意:タイの向きはJapoScoreで自動的に選択していますので、MuseScore等でタイの向きを変更してもJapoScore上では反映されません。)

    五線譜表示上の注意事項

    ツール

    MuseScore用プラグインを生成する

    でMuseScoreのプラグインフォルダーにJapoScore用のプラグインファイルを生成します。
    JapoScoreの起動時に、プラグインファイル生成の必要性をシステムが自動的に検出した場合には、このダイアログが表示されます。操作方法にについてはMuseScoreのプラグインの設定方法を参照してください。
    (プラグインファイル生成の必要性の検出は、
    ・JapoScoreの版数が以前インストールしたものと異なる場合、または
    ・JapoScoreのインストール場所が以前と異なる場合
    です。)
    プラグインファイルの改版がない場合(たいていはありません)で、インストール場所が同じならプラグインの設定はスキップできますが、実行しても問題ありません。

    歌詞テキストからノート変換

    歌詞テキストからノート変換コマンドは、五線譜のノートの歌詞部に書かれたノート名などのテキスト情報から、ノート名を入力するツールです。五線譜のノートのピッチは無視され、ノート名に対応するピッチに変換されます。
    現在、箏と三絃譜をサポートしています。このツールを使うことで、既存の縦譜から、JapoScoreによる縦譜を容易に作成するができます。同時にMusicXMLファイルをエクスポートすることで、五線譜を得ることもできます。

    使い方の手順
    (1) MuseScore上で、リズムだけ(ピッチは任意)のスコアを作ります。
    (2) 歌詞部にノート名(以下参照)等のテキストを入力します。
    (3) これをJapoScoreにインポートし、パート設定など、必要な設定を行います。また音階の設定も行っておきます。
    (4) 「歌詞テキストからノート変換」コマンドを実行すると、ノートに箏または三絃のノート名が付けられます。
      同時に、ノート名に対応するピッチが計算され、内部のMusiXMLの情報に反映されます。
    (4) 歌詞テキストを削除してから、MusicXMLファイルをエクスポートすれば、五線譜が得られます。

    使い方のヒント
    ・五線譜は入力用と出力用を別々に用意すると作業しやすいです。
     入力用五線譜 -> JapoScore -> 出力用五線譜(歌詞部にノート名を出力)
    ・入力用五線譜からJapoScoreにインポートする場合、2度目以降はインポート更新を使うと音階の設定などを省略できて好都合です。
    ・出力用五線譜へのエクスポートする前に、入力用の歌詞を削除します(「歌詞テキストからノート変換」コマンドに歌詞を変換後に削除するオプションもあります)。
    ・エクスポート時には、歌詞部にノート名を出力するオプションを付けることができます。これにより、音名が正しくついているか確認が容易になります。ピッチの確認は、目視またはプレイして行います。

    スケール(音階)を更新した場合には、歌詞ノート名変換コマンドを再実行する必要があります。

    五線譜の歌詞部へ入力するテキスト情報は、以下を参照してください。
    箏譜(箏生田、箏正派共通)ノート名一覧
    箏13弦 ”1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 t i k”
    箏十七絃 ”1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17″
    半音押しは ノート名の後に”+”を付ける。
    1音押しは ノート名の後に”++”を付ける。
    1音半押しは ノート名の後に”+++”を付ける。
    音符名付きスクイは、ノート名の後に”s”を付ける。
    単独の(音符名なしの)押しは 半押しは”o+”,強押しは”o++”,1音半押しは”o+++”とします。
    はなす(ハ)は、”h”です。ピッチは2個前のノートのピッチを採用します。

    三絃生田ノート名一覧
    1の糸 ”.1 .2 .3 .4 .4# .5 .6 .7 .8 .8# .9 .X .11 .12 .13 .14 .14# .15 .16 .17 .18 .18# .19″ (数字の前に”.”をつける)
    2の糸 ”:1 :2 :3 :4 :4# :5 :6 :7 :8 :8# :9 :X :11 :12 :13 :14 :14# :15 :16 :17 :18 :18# :19″ (数字の前に”:”をつける)
    3の糸 ”1 2 3 4 4# 5 6 7 8 8# 9 X 11 12 13 14 14# 15 16 17 18 18# 19 20 21 22 23 24 24# 25 26 27 28 28# 29″
    ハジキはノート名付きなら、ノート名の後ろに”h”を付けます。
    ノート名なしの単独のハジキは、”h”とします。
    スクイはノート名付きなら、ノート名の後ろに”s”を付けます。
    ノート名なしの単独のスクイは、”s”とします。
    スリアゲは、半音のスリアゲは”u”、一音のスリアゲは”uu”、スリサゲは、半音は”d”、一音は”dd”とします。音名付きのスリアゲはノート名ノート前に”u”を付け、音名付きのスリサゲはノート名ノート前に”d”を付けます。

    箏・三絃生田に共通な項目
    和音は、ノート名を”/”で区切って最低音から順にノート名を列記してください。
     例 ”3/5/7″ (箏の例)
    装飾音符 MusicXML(MuseScore)では装飾音符に歌詞を入力できませんので、前打音は”<"で、後打音は">“で区切り、装飾でないノートの歌詞に入力してください。
     例 ”7<5" (前打音が7)、 "7>5″ (後打音が5)
    小節の最後の装飾音符は、後打音として入れる必要があります。
    装飾音が複数個ある場合は、”,”で区切ります。
     例 ”7,5<3" (前打音は7と5)  繰り返し 歌詞に”*”を入れると、直前の(装飾以外の)ノートの歌詞と同じ歌詞をいれたことと同じ結果になります。例えば、同じ単音ノートや和音が連続する場合は、2番め以降はのノートの歌詞は”*”で代用できます。

    タイの後ろ側のノートには、その前のノートと同じピッチの音名または”*”を入れてください。

    歌詞の削除

    歌詞を削除することができます。このコマンドは、歌詞テキストからノート変換を行った後に不要になった歌詞の削除に使用されることを想定しています。歌詞テキストからノート変換コマンドでは、歌詞の削除を同時を行うオプションもあります。
    パート番号と歌詞番号を指定し歌詞を削除します。

    ノート名を歌詞に出力

    ノート名を歌詞に出力します。
    出力対象となるパートは、歌詞の出力がオンになっているパート(パート設定ダイアログの詳細設定の出力制御より歌詞の出力にチェックを入れる)です。
    歌詞を出力したスコアは別タブに表示されます。

    小節の方向を縦描きから横描きへまたその逆に変えた場合、ノート名の歌詞への出力はやり直してください(使用するフォントが一部異なるためです)。

    なお、エクスポートMusicXMLを「歌詞部へノート名を出力」オプションをチェックして実行すると、ノート名の歌詞への出力は、エクスポートされるmusicXMLに対して行われます。

    歌詞の移動(五線譜)

     
    五線譜のノートに近い位置に歌詞を移動するコマンドです。
    歌詞の移動ダイアログが表示されるので、移動したい歌詞のパート番号、歌詞番号とオプションを指定してOKをクリックします。
    オプションの説明:
    ノートの近くは、五線の上下のいずれかノートに近い位置
    ノートの上側は、五線の上側でノートに近い位置
    ノートの下側は、五線の下側でノートに近い位置
    に、歌詞を移動します。

    五線譜パートの挿入(上級者向け)

     I
    指定したパートを複製し、指定したパートの前に五線譜として挿入します。五線譜と邦楽譜を併記したスコアを作る場合に便利です。ただし、以下の問題点もありますので注意してご使用ください。問題点を避けたい方は、少し手間がかかりますが、MuseScore等でパートを複製して、JapoScoreにインポートしてください。
    注意事項(問題点):
    1. コマンド実行後にエクスポートMusicXMLしたファイルは、不完全な部分があり、MuseScoreにインポートすると、警告が出ます。構わず読み込みすれば、不完全さは解消され、これをエクスポートしたファイルは正しいファイルになります。
    2. パート1に挿入した場合、パート1が複製されるため、パート1にしか存在しない練習番号などもコピーされ、パート1と2に練習番号などが付きます。これを削除したい場合は、一旦MusicXMLファイルをエクスポートし、MuseScore上で編集してください。その結果をJapoScoreにインポートすれば、不用な複製要素を取り去ることができます。

    参照資料

    音符名一覧表

    ディレクティブ一覧表

     


    ‹ 参照資料 |↑目次 | ヒント集 >


    ヒント集

    スコア作成に役立つヒントなどを説明します。

    レイアウト編集のポイント

    (準備中です)

    箏譜作成のガイドライン

    箏譜は和音や複数声部(左手と右手の別旋律)があること、調弦情報が必要になることから、尺八譜などの単旋律の楽譜にくらべて、入力が複雑になります。
    右手と左手の旋律は声部(ボイス)を分けて下さい。右手旋律をボイス1に割り当てて、左手旋律をボイス2(3,4も可)に割り当てて下さい。縦書きでは右手が右側に、左手が左側に表示されます。
    単旋律を右手、左手で分けて演奏する場合は、ボイスに分けずにノートに左右の区別がわかるテキストを付加するのが良いでしょう。また、右手と左手を別パートに分けるという方法も可能です。
    十七絃などではへ音記号を使いますが、ト音記号とへ音記号の2段の譜の場合、MuseScoreではト音記号の段とへ音記号の段は別ボイスになりへ音記号の段のほうがボイス番号が後番(5~8)になるので、JapoScoreでは縦書きの場合、へ音記号の段が左側に表示されます。


    音階(調弦)については、ボイス1の最低音(和音)のノートに音階のディレクティブを指定して下さい。

    楽譜のSVGファイルを編集する

    スコアをSVGファイルにエクスポートすると、SVG形式のファイルが扱える図形編集ソフト(Inkscape, Illustratorなど)により、後処理として、さらに図形編集を行うことが可能になります。

    パート譜の作成方法

    次の3つの方法があります。
    1.JapoScoreでパート譜を作る方法
    パート設定ダイアログによりパート出力を適宜On/Offすることでパート譜を作成できます。
    2.MuseScoreでパート譜作成機能を使う方法
    MuseScoreにはパート譜を作る機能があります(ファイルメニューのパート譜…)。
    (MuseScoreではこの機能でパート譜を作ると、連続する全休符小節が長休符に変換されます。長休符と全休符小節との相互変換操作(Mキー)を行うと、エクスポートで異常終了することがあり、不安定のようです(MuseScore v.3.4.2.25137)。問題が生じた時は1か3の方法に切り替えたほうが良さそうです。)
    3.MuseScoreで不要なパートを削除してパート譜を作る方法
    編集メニューの楽器…から不要パートを削除してパート譜を作成します。2の方法で問題が出たときは3の方法が確実です。


    ‹ ヒント集 |↑目次 | 問題の解決 >


    問題の解決


    ‹ 問題の解決 |↑目次 | 開発の経緯と謝辞 >


    開発の経緯と謝辞

    MuseScoreで五線譜上にロツレチ譜を書き込むShakuhachi and Shinobueプラグインを数年来愛用しています。これを提供された立花宏さんに感謝します。

    これだけでもとても実用的ですが、本格的な尺八譜を作れないものかとずっと考えていました。しかし技術的なハードルが高そうで、あきらめかけていたところ、RazvanさんがmusicXMLデータから都山譜を表示するShakuViewerを公開(2014年春頃)されて、これに大いに刺激を受けました(MuseScore2用のプラグインはShakuViewerのものをそっくりまねさせていただきました)。

    ShakuViewerを使ってみて作り方のイメージが一気に湧いてきたので、自分で作ってみようと思い、設計と開発を開始して、2015年3月にVersion1.0を公開しました。その後時間がなく、大幅な拡張ができませんでしたが、2015年末から2016年3月に機能拡張を行いVersion1.1として公開しました。さらに2017年の冬に箏譜のサポート、ディレクティブ機能の追加など大幅な機能拡張を行い、Version2.0を2018年1月に公開することができました。

    立花さんのShakuhachi and Shinobueプラグイン、RazvanさんのShakuViewerがなかったら、ShakuScore(JapoScore)の開発はなかったと思います。あらためて、お二人にこの場をお借りして深謝いたします。
    2016年5月1日
    佐藤祈采

    2017年の冬から2018年の早春にかけて、箏譜のサポートに必要な和音と複数声部の処理に取り組み、その他の機能拡張と合わせてVersion 2をリリースしました。
    この間、ユーザの方々からのさまざまなコメントを頂き、それが大変参考になりました。コメントをくださったユーザの方々に感謝致します。
    また、泉州尺八工房の三塚幸彦さんには、尺八フォントの形状データの使用を快諾していただき、ありがとうございました。都山のTozan_FeltPenフォントがそれです。
    2018年3月31日
    佐藤祈采

    2018年の冬から2019年の春にかけて、箏や三味線譜を中心に機能拡張を進めました。箏では正派の記譜法、三味線の文化譜を追加したほか、五線譜の歌詞パートに音名を表示する機能も追加しました。
    サポートする記譜法が増えてきたので、ShakuScoreからJapoScoreに改名し、Version 3としてリリースしました。ユーザーの数も増えつつあります。便利に使っていただければ、開発者としては大変嬉しく思います。
    2019年4月10日(桜が満開です)
    佐藤祈采